入院しました

人生

私の住む家の隣に、90歳の独居のおばあさんがいました。

ここに引っ越してきて約5年。当時は、すごいおばあさんがお隣にいるな〜。

なんかちょっと怖いな、きちんとしないと叱られそうだな。

そんな雰囲気を持ったおばあさんでした。地域の会や、ゴミ捨てルールなどもカチッと守りとにかく、地域を守る人。

ものすごく優しくもあり、厳しさも兼ね備えているような方でした。

そのおばあさんが、数日前に、入院しました。
理由は、
認知能力の変化です。あんなに厳格なしっかり者のおばあさんが、ここ1ヶ月の間に、目に見えて変化していきました。
いつも整っていたお庭には、ゴミが散乱し、おしゃれだった服装もヨレヨレの服に、最近では服を着ずに歩いていることもあり、見つけると急いで声をかけにいくこともありました。夏の猛暑の中、エアコンは使用せず、外も裸足で歩いていたり。身体も痩せていくおばあさんでした。
明らかに変化していくおばあさんのことを、地域のみんなで、どうにか助けないと危ない!と話し合い、地域包括支援の方々の介入のおかげで、おばあさん納得の上で、入院することになりました。
ものすごく厳格でしっかり者のおばあさんだったので、ここまで行くには、決してスムーズではありませんでした…。地域包括支援の方や、役所の方々が、コツコツと丁寧に関わってくれたおかげだと感じています。
入院したと聴いた時、私は寂しさもありましたが、大きな安心感もありました。安全な場所に行けたことに安堵でした。慣れ親しんだ家で過ごせないおばあさんの気持ちを考えると何とも言えない気持ちもありますが、独りで生活するには、限界だったと思います。
早くにご主人を亡くされ、一人娘さんは海外在住のため、一番近くの存在は地域の人だったのでは?と感じています。
おばあさんがこれまでずっと、人のため、地域のために貢献するような生き方をされてきたからこそ、こうして地域の人に守られるような存在になったんだなと強く感じました。時には厳しく人に言うこともあったおばあさんですが、「愛」であったり、おばあさんにとっての「信念」を大事にした生き方だったと、5年のお付き合いだけでも伝わってくるものがあります。
この世の法則、「因果応報」。自分がしたことが、大きくなって返ってくる。おばあさんがたくさんの方に与えたことが、時間を経て返ってきていると感じます。
そして、「諸行無常」。すべてのものは移ろいゆく。人の加齢も、自然の変化も、物事のすべて、ずっと同じであることはありません。
だからこそを大事に、変化を受け容れること。
移ろいゆくことを、楽しめるのも、生きているからです。
出会いや別れ、入学や卒業、生きていると、いろんなことを経験します。
歳を重ねれば、少しずつ感じる体力の低下、シワやしみも移ろいゆく変化のひとつ。
一見寂しいや悲しいことにも感じたりもしますが、それを感じられること、その変化を受け容れながら、生きていくことが「人生」なのだと思います。
嬉しい、楽しい、悲しい、寂しい、怒り。
その1つ1つを大事に、受け容れながら生きていきたい。改めてそう感じています。

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